Authors : |
佐藤修二, 朝倉潤, 鈴木英之, 平野純, 大森秀一郎, 高久仁利, 三好勲, 増渕正隆, 秋葉直志, 山崎洋次 |
Abstract : |
巨大気腫性肺嚢胞に合併した肺癌の5切除例を対象とし, その臨床的特徴を検討した. 全例高度喫煙の男性で, 平均年齢は50歳であった. 腫瘍発生部位は, 右上葉が4例, 左上葉が1例であった. 全例に肺葉切除術を施行し, うち2例に気管支形成を加えた. 組織型は, 大細胞癌が4例, 腺癌が1例であった. 術後病理病期は, I期が3例, IIIA期が1例, IV期が1例で比較的早期の症例が多かった. I期症例では3例中2例が6年以上非担癌生存中で, 1例は6年6カ月後に脳転移で死亡した. IIIA 期, IV期症例はそれぞれ3年3カ月後, 1年10カ月後に癌死した. 自験例に本邦報告例を加えた33例について検討を加えた. 嚢胞の発見時期を, 肺癌の診断と同時のもの(同時例, n=13)と嚢胞の発見が先行しているもの(先行例, n=20)に分類すると, 同時例にIIIA期以上の進行例が多く, 先行例にI期症例が多い傾向がみられた. またI期症例の5年生存率は78. 6%と比較的良好であったのに対し, IIIA期以上の症例では0%と不良であった. 巨大気腫性肺嚢胞患者では, 肺癌が合併しやすいことを念頭において経過観察を行い, その早期発見, 早期治療に努めるべきであると考えられた. |