アブストラクト(46巻8号:The Japanese Journal Of Thoracic And Cardiovascular Surgery)

Title : 右胃大網動脈を使用した冠状動脈バイパス術後に胃穿孔を来した1例
Subtitle :
Authors : 恒吉裕史, 南一明, 中山正吾, 坂口元一
Authors(kana) :
Organization : 大阪赤十字病院心臓血管センター心臓血管外科
Journal : The Japanese Journal of THORACIC AND CARDIOVASCULAR SURGERY
Volume : 46
Number : 8
Page : 719-723
Year/Month : 1998 / 8
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 症例は71歳, 男性. 既往歴として約1年前に十二指腸潰瘍出血がある. 不安定性狭心症の診断にて1997年3月7日冠状動脈バイパス術(CABG)を施行した. 上行大動脈の石灰化が強く遮断は不可能であったため心室細動下に左内胸動脈を左前下行枝#7に, 右胃大網動脈を右冠動脈#4PDへ吻合した. 右胃大網動脈(RGEA)の採取は幽門部付近より胃体中部まで行い, 採取後も外観上胃に虚血所見は見られなかった. 経口摂取は術後3日目より開始, その後順調であったが術後7日目に, 突然の腹痛を来し, 血液検査上の急激な炎症所見, 腹膜刺激症状を認め緊急開腹術を行った. 開腹したところ胃の前面, 大彎側が虚血性の変化を示し, 中央部に直径2cmの穿孔を認めた. 胃を約1/3切除し再建を行った. 切除標本の病理検査では慢性潰瘍の所見はなく虚血による胃穿孔の可能性が高かった. その後, 敗血症を合併し多臓器不全のため術後約2カ月後に死亡された. 本症例はRGEAを用いたCABG術後に虚血が原因と思われる胃穿孔を生じた非常に稀な症例であり報告した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 右胃大網動脈, 胃穿孔, 腹部合併症
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