Abstract : |
[緒言] 肺結核で外科的療法の對象となる症例の病變が純粹に一側性である場合は非常に少く, 全例の2/3以上は多少とも對側肺に結核病變をもつていると報告1)2)されている. 最近肺切除術の發達にともない, 從來は胸廓成形術(胸成術)適應のとされていた一側性肺結核症例の多くが肺切除の適應に含まれるようになり, さらに兩側肺結核でも對側肺病變が化學療法或は切除術によつて處置出來る場合は切除の適應3)とされ, 結局胸成術の適應として主病側の切除不能な兩側肺結核が改めて檢討されるに至つたわけである. このような兩側肺結核に胸成術が行われた場合, 對側肺病變が術後如何なる經過をとるかという問題については既に多くの人1)2)4~9)によつて檢討されているが, その術後經過は惡化するものより反つて好轉する率が高いとされている. この好轉する理由として, Ascoli10)の如く一側に氣胸が行われた場合, 縱隔の對側移動が生じ, その機械的な影響により對側肺の容量が減少し, 對側肋膜内壓が上昇するためであるとする治癒機轉をあげ, 局所の機械的作用に結びつける人と, Herms11)の如く術側の空洞から生ずる中毒因子が遮斷され, 生體の防禦力が増大するため或は8)主病巣の鎭静によつて改善された全身的要約が間接的に對側肺病巣の自然治癒を促進するためというように, 治癒機轉を全身状態におくものとがある. |