Authors : |
澤崎博次, 堀江和夫, 山田充堂, 田島玄, 内藤普夫, 渡部滋, 桂忍, 村林彰, 野中拓之, 布施正明 |
Abstract : |
「緒言」肺切除術後の切断端気管支合併症は重要な問題である. 吾々は関東逓信病院に於て昭和31年以来10年間に603例の肺切除術に於て断端結核は1例も経験しないが, 断端気管支アスペルギルス症と断端気管支瘻の若干例を経験し, その原因を追求して来たが, 縫合材料がその重要な原因の1つであることを確認し, 爾来, 絹糸をナイロン単糸(東洋レイヨン)に改め, 以後1例もこれらの合併症を生じていない. 以下これらの臨床的ならびに実験的研究の結果を報告する. 「断端気管支アスペルギス症」 本症の詳細は真菌と真菌症1)6巻2号(昭40)に発表したが, 臨床例は表1の如く10年間の各種肺疾患の肺切除総例603例に対し7例の発生を見た. その頻度は断端気管支の縫合材料として絹糸を使用した群では495例中7例(1.6%)に当り, 殆んど毎年の如くに発生している. これに反し, 昭和38年以降はナイロン単糸(東洋レイヨンNo.4)に改めて108例の肺切除を行つたが本症の発生は0となつた. |