Abstract : |
Aorto-caronary bypassを実験的に作成し, bypassおよびもとの冠動脈の態度を血行動態面から検討し, 1年生存犬を左心機能の面から評価した. 冠動脈よりも太い動静脈片をgraftとして用いたため, 急性実験の場合graft初期流量はもとの冠動脈流量より多く, bypassにより冠動脈中枢側の血流量は低下し, 早晩中枢側の閉塞を生ずる危険性は増加するが, この流量低下はgraft流量の増加で代償される. 動静脈片の比較に関しては, 同じ太さの血管片を使用する場合, 内腔の大きい静脈管の方が血流量が多く有利である. 動静脈片ともにbypass内に逆流は認められず, graft血流波形はもとの冠動脈血流波形に近く, これは1年後のgraft血流についても同様であつた. 上行大動脈から左鎖骨下動脈までの間にaorto-coronary bypassを作成すれば, 血流量に吻合部位による有意差は認められず, その間のいずれの部位でも良好な血流が得られる. 一定のafterloadを加えることによつて生ずる左心のparamaterの変化によつて機能程度をpump actionとして量的に知り得た. graft長期開存例は敗血症による1例を除き, 心機能は良好に保たれ, graftは冠動脈の役割を充分に代償していた. しかしgraft閉塞例でも副血行路が充分に発達していたため, 心機能の低下は認められなかつた. |