Abstract : |
膜型人工肺の臨床応用は, 多年多くの心臓外科医により切望されていた課題であつたが, 1969年Edwards研究所にてLande-Edwards膜型人工肺が開発されてから, その症例数も増加し, しかも良好な成績をあげている. 著者はこのLande-Edwards膜型人工肺(Model5100-3)を使用し, 体外循環中の血球成分の破壊すなわち溶血に関して, 基礎的・臨床的検討を行つた. また従来より使用している気泡型人工肺, 回転円板型人工芝と比較検討してみた. 膜型人工肺は臨床例110例に使用した. 年令は11ヵ月より68歳, 体重は6.5kgより80kgであつた. 体外循環時間は20分より5時間15分であり, 平均1時間40分であつた. 体外循環中の血漿Hb値は, 気泡型人工肺使用例が最も高値を示し, 時間的経過による増加の傾向も顕著であつた. 膜型人工肺使用例は低値を示したが, 開心術に際しては吸引装置による溶血が強く, 膜型人工肺の長所が十分生かされないようである. しかし膜型人工乳は気泡型人工肺に比し, 2倍強の長時間の体外循環が可能であると思われる. このLande-Edwards膜型人工肺の最もよい使用条件は, つぎのごとくである. 1)1M2 unit×1は体重10kg以下, 1M2 unit×2は体重20kg以下, 3M2 unit×1は体重20~40kg. 3M2 unit×2は体重40~80kgの症例に使用する. 2)膜型人工肺2個以上の接続はParallel connectionとする. 3)使用回路は動静脈側にReservoir, Pumpを2個づつ置き, Recirculation回路を有する回路とする. 4)酸素流量は1M2 unitあたり2-3l/minとする. 5)Recirculationは動脈血PO2 100mmHg以下に低下した場合使用する. 以上の成績から, 膜型人工肺は今後長時間の体外循環, 心原性ショック, 心臓手術後の低拍出量症候群, さら急性, 慢性呼吸不全などの補助循環として広く応用すべきものと考える. |