アブストラクト(23巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 超音波による心臓弁膜疾患の研究-主として僧帽弁疾患を中心に-
Subtitle :
Authors : 安住斗士夫, 杉江三郎
Authors(kana) :
Organization : 北海道大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 23
Number : 9
Page : 1114-1131
Year/Month : 1975 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 北大第2外科に入院したMS28例, MSI16例, MI5例, AI7例, ASI2例, 僧帽弁置換15例のUCGを検討した. MS症例;全例Slopeは20mm/sec以下で平均12.5±6.3mm/secで著者の正常人20例の平均132.0±21.2mm/secに比較して著しく低かつた. Slopeと狭窄程度および肺動脈Wedge圧との間の相関は著者の症例が重症例が多かつたためか明瞭ではなかつた. 交連切開術後のSlopeは全例に増加をみ, その平均は38.0±13.6mm/secであつた. UCG波型の振幅とMSの重症度との関係は一定せず交連切開術後も増減まちまちであつた. Slope20mm/sec以下は手術適応であり術後増大したSlopeが20mm/sec以下になれば再狭窄を疑う. MSI, MI症例;MIの程度が進むにつれてSlope, 振幅は増大の傾向にあるが一定せずMSより診断価値はうすれる. AI症例;Slopeの低下, A波の減弱ないし消失, 拡張期弁尖の鋸歯状振動, 僧帽弁早期閉鎖などがみられる. 術後これらの所見は改善されている. 大動脈弁移植の症例ではこれらの点に注意することにより弁輪部の縫着不全によるAIの早期発見が期待できる. 人工弁移植症例;UCGにより移植僧帽弁の開閉速度, 振幅などを測定することができるのでこれらより弁機能の良否が判定可能である. 著者の症例のdisc弁の開閉速度はおのおの平均300±130mm/sec, 370±81mm/secで一般に弁開放速度より閉鎖速度の方が速いが, この速度はかなりのばらつきがある. 弁機能の良否を判定するには症例毎に術後早期よりUCG, 心電図, 心音図を同時記録し時間の経過とともに観察することが大切である. UCGは患者に対する浸襲が全くなく手軽に繰返し施行できるので外来でのスクリーニング, 術後のFollow upに優れた検査法であり, ことに移植弁の機能判定には有力な手段となりうるものと考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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