Abstract : |
術前, 術後を問わず, 重症疾患に対する呼吸管理に際し, 長期高濃度酸素投与が, 度々致命的な肺障害, すなわち酸素中毒をおこすことで問題となつている. 著者は, 成熟マウスを用い94±2%の酸素を4, 6, 8日間投与の3群に分けて投与し, 酸素中毒マウスを作つたのち, 各群を再び大気中に戻した時, どの様な自然回復過程をたどるかについて, また投与期間の差が回復にいかなる差異を生ずるかについて, 一般状態, 肺の形態学的ならびに物理学的変化を中心に検討を加えた. 結果, critical-pointをこえて酸素投与を行つた場合, 投与中止後3~4日まで死亡例を認め, 特に投与中止後24時間以内の死亡率は高い. 回復は, 投与中止後ただちにはじまるのではなく, 2~3日後よりはじまり, 回復の順序としては, 最初に一般状態, 肺表面活性, ついで肺内眼的所見であり, 15日後においても肺光顕的所見, 肺重量, 体重の回復は充分ではない. また, 投与期間の差と回復の関係は, 一般状態ではあまり差はないが, 肺の形態学的所見, 肺表面活性等については差が認められる. |