アブストラクト(25巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胸部下行大動脈遮断に伴う消費性凝固障害と大動脈バイパスの効果
Subtitle :
Authors : 小池荘介, 高橋雅俊
Authors(kana) :
Organization : 東京医科大学外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 25
Number : 1
Page : 9-20
Year/Month : 1977 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 胸部下行大動脈を90分間完全血流遮断すると, 高頻度に消費性凝固障害の発生がみられることに注目し, その防止手段として, 一時的体外バイパスを左頚動脈から左大腿動脈に作成し, バイパス径を3種類とし, 血液凝固学的, 病理組織学的検討を行い, 併せて血行動態についても実験的検討を加え, つぎの結果を得た. 1)補助手段なしに90分間血流遮断を行うと, 遮断解除時に60%の消費性凝固障害の発生を認め, 組織学的にもとくに肺に血栓形成を認めた. 生存実験では, 下肢対麻痺は避けられず, 組織学的にも, 脊髄は灰質神経細胞は消失し, 新生血管の増加ならびに神経膠細胞の増生を認めた. 2)左頚動脈の0.5倍径のバイパスを用いても, 血流遮断を90分間行うと, 40%に消費性凝固障害の発生を認めた. 3)本実験における消費性凝固障害発生の経時的変化は, 大動脈遮断後40分以後に著明となり, それぞれ凝固因子の減少を認めた. 4)左頚動脈と同径または1.3倍径のバイパスを用いて, 血流遮断を90分間行うと, 消費性凝固障害の発生はみられず, 下肢対麻痺の発生も防止でき, 組織学的にもほとんど変化を認めない. しかし, 血行動態的には, 1.3倍経のバイパスにした方が安定しており, バイパス血流量は平均34ml/kg/min, 本来の下行大動脈血流量の55%が得られ, 腎血流量は血流遮断前の約60%に維持されており, 90分間の遮断でも心拍出量の低下はない.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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