アブストラクト(25巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 補助循環下, 冠動脈造影法に関する実験的ならびに臨床的研究
Subtitle :
Authors : 志田力, 麻田栄
Authors(kana) :
Organization : 神戸大学医学部第2外科教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 25
Number : 1
Page : 43-56
Year/Month : 1977 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : ショックに陥った急性期心筋硬塞患者に対して補助循環を実施すると, 血行動態の著明な改善がえられることから, 補助循環中であれば, たとえ重篤なリスクの高い虚血性心疾患患者に対しても, 冠動脈造影が安全に実施できるのではないかと考え, 著者は, 補助循環下で, Acethylcholine(以下Achと略す)による任意心拍停止下に行う冠動脈造影法の可能性と実用性を, 実験的に検討するとともに, さらに, 臨床例の体外循環中に, 簡単な装置と手段によって, 鮮明な冠動脈造影像をえる安全な方法を開発する目的で, 本研究を行った. 1. 実験的研究:20頭の雑種成犬を用い, 部分体外循環下に, Achを上行大動脈内に注入して任意心拍停止をえ, その間に冠動脈造影を行った. 対照犬13頭および冠動脈結紮犬7頭, 計20頭の造影において, 90%の確率でほぼ満足するに足る造影像をえ, 本法の臨床応用は十分に可能と考えた. 2. 臨床的研究:体外循環下に開心術を行った27例において, 任意心拍停止下に冠動脈造影を行った. 心拍停止のための手段として, Achの大動脈起始部注入, aortic cross clampによるanoxic arrest, 人為的電気細動法などを用い, 心拍停止下に造影を行った. これらのうち, 人為的電気細動下に, aortic cross clampを造影時に併用する方法が, 最も鮮明な造影像を示した. なおcoronary perfusion実施例においては, 冠潅流カニューレを応用する方法で造影を実施したところ, 極めて良好な冠動脈造影像をえたが, 本法の適応は甚だしく限定されよう. 補助循環下の冠動脈造影法は, 特殊な器具を必要とせず, 操作も簡単で, しかも重篤な患者においても安全に実施できると考えられる. 造影能に関しても, 狭窄の部位や程度さらに冠動脈直達手術の適応の有無の判定は十分に可能なので, 実地臨床上, 有用な方法と結論した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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