Abstract : |
先天性冠状動脈奇型である左冠状動脈肺動脈異常起始症(Bland-White-Garland Syndrome)は, 稀な心疾患とされ, 欧米においては, 200例近くの報告例があるが, 本邦においては, 剖検例も含めて, 20症例報告されているにすぎず, 外科手術を施行された例は13症例である. われわれは, 最近, 本症の成人型を経験し, 左冠状動脈短絡孔結紮および大伏在静脈によるAorto-coronary bypass法を行い, 外科的に根治せしめたので, 若干の文献的考察を加え報告する. 「症例」患者:O.S., 20歳, 女子, 某病院の看護婦. 主訴:動悸, 手足および顔面の浮腫, 左背部の重圧感. 家族歴:母親の妊娠経過中には特に異常を認めなかった. 現病歴:患児の生下時体重2,800g, 満期正常分娩, 出生後3歳までは, 発熱を伴う上気道炎, 痙攣発作, 失神などの“ひきつけ”を頻発したが, 本症の特徴とされる, 生後数週から数ヵ月の間に, 突発する不穏状態, ゼーゼーいう呼吸, 呼吸促迫, 頻脈, 発汗, 顔面蒼白, チアノーゼなどは認められなかったという. |