Abstract : |
雑種成犬32頭を用い, 実験的に僧帽弁逆流, 心室内左-右短絡を作成し, 逆流量, 短絡量にIABPがどのような効果を与えるか, 検討した. 電磁流量計を内蔵した管を, 左室-左房間, および, 左室-右室間にバイパスし, 心筋硬塞後に合併する僧帽弁閉鎖不全, 心室中隔穿孔に似せた実験モデルを作成した. この方法により, 逆流量, 短絡量を直接測定することが可能となった. 急性僧帽弁閉鎖不全群では, IABPの作動により, 拡張期大動脈基部平均圧(MADP)は, 11mmHg上昇し, 左室収縮期圧は9%低下し, 心拍出量は6%増加した. 逆流量は13%減少し, 左房平均圧が17%低下した. 心室中隔穿孔群は, IABPの作動により, MADPは10mmHg上昇し, 左室収縮期圧は9%低下し, 心拍出量は3%増加した. 短絡量は18%減少し, 右室収縮期圧は10%低下した. 急性心筋硬塞+僧帽弁閉鎖不全群では, IABP作動により, 左室収縮期圧は12.8%低下し, 心拍出量は4%増加した. 逆流量は, 12.6%減少し, 左房平均圧は28.6%減少した. 逆流量, 短絡量の減少はIABPの左室補助効果, すなわち, 左室駆出抵抗の減少度に依存していることがわかった. 急激に生じた, 僧帽弁閉鎖不全, 心室中隔穿孔に対し, IABPは有効な手段となりうる. |