アブストラクト(25巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Echocardiographyによる人工弁置換術後の心機能, 弁機能の評価
Subtitle :
Authors : 今村洋二
Authors(kana) :
Organization : 慶応義塾大学医学部外科学教室
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 25
Number : 3
Page : 292-305
Year/Month : 1977 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 弁膜症患者102例を対象に, Echocardiographyを行い, うち73例について術前術後の心機能の変化を追求した. MI, AI群では, 術前EDV SVが高値を示しており, 逆流によるvolume overloadを示唆している. これらの価は人工弁置換術後, 急激に低下した. MS→MVR例では, 術後1, 3年以内に, ほぼ正常値を示す傾向にあるが, 交連切開例では術前術後, ほとんど変動を認めない. しかし, 両者の間に大きな差はなく, 人工弁置換手術に伴う術後の血栓塞栓症, 感染弁機能障害などの合併症や, 術後長期の管理を必要とすることを考えると, 可能な限り弁の温存をはかるべきであろう. mVCFは, 交連切開例では, 術後正常値に復するが, 人工弁例では術後も高値を示している. これは, 人工弁置換により, hyperkinesisの傾向が助長されていることを示しており, 心筋はかなり過剰の仕事を行わなければならないものと思われる. Echocardiographyより求めた, 左室ポンプ機能を示すパラメーター(EDV, ESV, SV, EF), 心筋機能を示すパラメーター(mVCF, mPWV)とも, 弁膜症患者の術後心機能評価を行う上で, 有効な示標となり得る. 人工弁機能評価には, 86例の人工弁置換例を対象とし, 弁開閉速度と波形の変化を検討した. 人工弁開閉速度にはばらつきが多く, とくに心房細動例に著明であった. この原因には, 音波の散乱の特性, 重力, 慣性の問題, 弁自体の不安定な動きなどが考えられる. 計測結果では一般にtilting disc弁の方がball弁より若干高速の開閉をすることが判明したが, これは, Discが軽く, 重力の影響をうけにくいこと, central occulderでないことなどによるものと考えられる. 弁機能障害例を5例(6%)に経験したが, いずれもEchocardiographyにて確認されており, 弁膜症患者の術後管理において, Echocardiographyの意義は極めて大きいものと考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords :
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