Abstract : |
開心術後急性期における循環動態および心機能を検索すべくSwan-GanzカテーテルおよびCardiac Output Computerを用いて術直後より48~72時間にわたり肺動脈圧(PAP), 肺動脈楔入圧(PwP), 左房圧(LAP), 右房圧(RAP)および肺血管抵抗(PAR)を測定した. 対象とした症例はCHD症例(ASDおよびVSD閉鎖術)28例, M症例(OMC, MAPおよびMVR)24例計52例であり, 術前肺動脈収縮期圧が50mmHg以下をPH(-)群, 50mmHg以上をPH(+)群とした. CHD症例PH(-)群ではPAP, PwPは術後3時間時に低下, 以後同様の値を持続し, mRAP, PARは正常範囲の変動を示した. 一方PH(+)群では軽度肺高血圧症例は各種心内圧およびPARはPH(-)症例とほぼ同様の推移を示した. PH(+)群のうち年少例では術後PAPは低下し, 正常値に復し, またPARの上昇もみられなかった. 年長例ではPAPは一時低下したがその後PARの上昇に一致して上昇傾向を示した. M症例PH(-)群ではPAP, PwPは術後3時間時低下し以後低下値を維持した. LAPは術後3時間時に低値を示し以後ゆるやかな上昇傾向を示し, mRAPは正常範囲内の変動を示した. PARは術前やや高値を示したが術後は正常値に復した. 一方PH(+)群ではPAP, PwPは術後3時間時低下し以後低下値を維持した. mRAPは正常範囲内の変動を示した. PARは術前高値を示したが術後は著明に低下した. 高度肺高血圧症例ではPAPは術後一時低下したが, 術後40時間時よりPARの上昇に一致して上昇傾向を示した. PwP, LAPは術後低下し以後上昇傾向を認めなかった. PH(+)症例のうち再手術施行例では再手術後PAP, PwPは正常範囲に低下し, PARは正常範囲内の変動を示したがmRAPは高値を示した. mPwP 20mmHg以下の症例ではmPwPとmLAPとは正の相関を示し, 同条件下ではmPwPはmLAPの代用となりうる所見であった. |