Title : |
部分肺静脈還流異常(PAPVC)外科治療上の問題点 |
Subtitle : |
原著 |
Authors : |
村瀬允也*1, 土岡弘通*1, 阿部稔雄*1, 清水健*1, 石原智嘉*1, 浅井資弘*1, 竹中茂晴*1, 田中稔*1, 田本杲司*1, 平松隼夫*1, 彦坂博*1, 吉岡研二*1, 小沢勝男*1, 小林正治*1, 津田斉*1, 大宮孝*1, 宮田義彌*1, 小林淳剛*1, 野垣英逸*1, 椙山直敏*1, 弥政洋太郎*1, 中井堯雄*2 |
Authors(kana) : |
|
Organization : |
*1名古屋大学医学部第1外科, *2愛知医科大学第2外科 |
Journal : |
日本胸部外科学会雑誌 |
Volume : |
25 |
Number : |
6 |
Page : |
711-718 |
Year/Month : |
1977 / 6 |
Article : |
原著 |
Publisher : |
日本胸部外科学会 |
Abstract : |
部分肺静脈還流異常の多くは心房中隔欠損に合併し, その外科治療法もほぼ確立された感がある. しかしながら比較的稀ではあるがなお問題を残す症例があることも事実である. 最近経験した症例は右上下, 左下肺静脈の還流異常と左上大静脈の冠静脈洞への還流を伴い, 心房中隔は完全に閉鎖していた. 左心系発育は高度に障害され, 全ての肺静脈が左房側へ還流するように根治術を行ったところ術後低心拍出状態を克服できずに失った. そこでわれわれの経験例15例を検討した. 他原因で死亡したと考えられる1例のほか, 2例の心不全による死亡が見られた. 短絡率と心房中隔交通孔の大きさを比較検討したところ, いずれも短絡率が大きく交通口の小さいか, または閉鎖の症例であった. 短絡率が大きくても心房中隔欠損が大きい症例には死亡例はない. したがって術前短絡率の決定とともに, 心房中隔交通孔の有無, 大きさの診断が不可欠であり, 同時に左心系の発育程度をも把握しておく必要があると考える. 右側全肺静脈の還流異常と卵円孔開存を伴う症例で, 肺動脈より注入した連続撮影の肺静脈-左房相にサブトラクション法を応用したところ, 異常還流部位とともに少量の左右短絡を有する卵円孔を明瞭に描出でき, 手術により確認された. 本法は有用な方法と思われる. 手術手技的には, 術前の左心系検索により発育障害のある症例には, 部分的修復術または2次的根治術も考慮せねばならない. 心膜パッチなどによる心房中隔形成手術においては, 術後の瘢痕性狭窄も考慮して, 充分な大きさの交通口を確保するよう工夫する必要がある. |
Practice : |
臨床医学:外科系 |
Keywords : |
部分肺静脈還流異常, 短絡率と心房間交通口, 左房発育不全, 肺静脈撮影, サブトラクション |