Authors : |
新藤健*1, 加藤治*1, 柳沢正弘*1, 山口陽*1, 森克彦*1, 岡野良彦*1, 小沢博樹*1, 伊藤信行*1, 小松寿*1, 海老根東雄*1, 亀谷寿彦*1, 海老原善郎*2, 川村貞夫*2 |
Abstract : |
「はじめに」心嚢嚢腫, 心嚢憩室は縦隔腫瘍の中で, 比較的稀な疾患とされている. 多くは無症状に経過する場合が多く, その報告例は少ない. とくに心嚢憩室は, 本邦では10数例の報告をみるのみである. われわれは最近, 縦隔腫瘍あるいは心嚢嚢腫の診断のもとに, 開胸手術を行い, 心嚢憩室と診断し, これを摘出せしめた3例を経験したので, ここに報告し, 文献考察を行った. 症例1. 豊○敏○, 49歳♀. 主訴:易疲労感. 家族歴および既往歴:特記すべき事なし. 現病歴:4~5年前, 他院にて胸部レ線撮影施行し, 異常なしといわれているが, 昭和50年4月, 某保健所での健康診断の際, 胸部レ線異常陰影を指摘されている. 同年6月頃より主訴出現し, 近医受診し低血圧を指摘され治療するも症状軽減せず, 胸部レ線異常陰影の精査および治療のため, 当科を紹介された. 理学的所見:体格中等大, 栄養良, 皮膚黄染なし, 血圧90~60mmHg, 脈拍60/min正, 呼吸数18/min, 貧血なし, 右側頚部に小豆大の硬いリンパ腺2個触知, 胸部理学的所見とくに異常なし, 腹部平担軟, 肝脾触知せず, 四肢浮腫も認めない. |