Abstract : |
改良型Carpentier-Edwards弁14個を用い, 12例に人工弁置換術を行った. 僧帽弁置換術のみ7例, 僧帽弁置換術および大動脈弁置換術2例, 僧帽弁置換術および大動脈弁交連切開術1例, 僧帽弁置換術および三尖弁輪縫縮術1例, 三尖弁置換術1例である. エプスタイン奇形1例の他はすべてリウマチ性疾患である. うち3例を術後20日目までに不整脈と腎不全で失った. 生存者9例は術後1週間から4カ月を経過し, 2カ月未満の3例がワーファリンを服用中である. Carpentier-Edwards弁は, 従来のmechanical valveとtissue valveのそれぞれの利点を兼備したbioprosthesisのひとつである. 改良型はグルタールアルデヒド単独処理, flexible stentの採用, 弁口面積の増大を特徴とするが, このflexible stentは支柱のみならず弁口部も可橈性であって, 弁尖にかかるストレスを大いに軽減するとされている. 大動脈弁型モデルの縫着輪は密で嵩張らず, 弁輪への納まりがよいが, 反面, 余裕がなく縫着に工夫を要する. 交連部ではその下方に糸を掛けて移植弁が弁輪から浮き上がらぬようにすべきである. 移植弁外周からの逆流発生を予防できるとともに, 洞構造が得られるからより生理的な弁機能を期待できる. サイズの選択は弁輪の大きさより, むしろ心拡大が消失したときを考慮して患者の体格によって決められるべきと考える. 成人の僧帽弁位では体表面積1.3m2以下は27mm, 1.3~1.5m2は29mm, 1.5~1.8m2は31mm, 1.8m2以上は33mmとして, 大動脈弁位ではひとサイズ小さく, 三尖弁位ではひとサイズ大きく選択するのがよい. 移植弁への過度のストレスが避けられ, 耐久性の向上を期待できる. |