アブストラクト(25巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 食道癌術後早期肺合併症の対策-とくに超音波ネブライザー併用によるミスト療法を中心に-
Subtitle : 特掲
Authors : 中山隆市1),2), 青木明人1), 岡芹繁夫1), 木村嘉憲1), 工藤学而1), 青木克憲1), 小川泰正1), 玉村一雄1)
Authors(kana) :
Organization : 1)平塚市民病院外科, 2)慶応義塾大学医学部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 25
Number : 7
Page : 897-906
Year/Month : 1977 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 食道癌症例で一期的, 開胸・開腹食道切除再建の57例を対象に術後早期肺合併症の分析と対策につき検討した. 1) 肺合併症発生率は17.5%(10/57), 手術死亡は7.0%(4/57)であった. 肺合併症は症例数の多い60歳台に26.9%(7/26)と最も多く, 80歳台の2例には認めなかった. 占居部位との関係では気管周囲の廓清を必要としたIu, Imに22.2%(6/27)と多く, Eiでは(0/14)認めなかった. a因子との関係ではa0, 7.7%(1/13), a1, 9.5%(2/21)の発生に較べa2, 33.3%(2/6), a3, 25.0%(1/4)とa2以上に多く認められた. 2) 術前肺機能と術後肺合併症の発生についてみると正常例, 16.7%(5/30), 拘束性障害例16.7%(3/18)と両者の間に差はなく術後呼吸管理の重要性が示唆された. 3) 肺合併症10例中, 初期の症例では無気肺, 肺虚脱が多かったが死亡例はなく, 一方肺炎に心筋硬塞, 心停止, イレウスなどを併発した場合, 予後は極めて不良で手術死亡となった. 肺合併症発生時には充分なPaO2の維持とともに循環系の対策が重要である. 4) 肺合併症防止対策としての超音波ネブライザーDevilbiss, M-6585によるミスト療法の効果については, 術後3日目ミスト療法施行35例のPaO2 71.9±3.2mmHg(S.E.M.)に対し非施行例12例のそれは56.5±3.1mmHg(P<0.01)であり有意差をもって施行例に高かった. 術後肺合併症の発生についてはミスト療法有, 無の両者の間に統計的・有意差は認められなかったがミスト療法非施行例の23.8%(5/21)に対して施行例では13.9%(5/36)と少なかった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 超音波ネブライザー, 術後肺合併症, 気道内分泌物過多, PaO2,Thiamphenicol, (Neomyson G注)
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