Abstract : |
間接的冠血行再建術のひとつとして有茎脾片心筋固定術を取り上げ, 実験的研究を行った. その利点は, (1)従来のVineberg法に比較して, より広い心筋の虚血範囲をcoverしうること, (2)脾臓自身きわめて豊富な血管構築を有すること, (3)生着しやすいこと, (4)脾摘による生体への障害が比較的少ないことなどである. 著者は雑種成犬を用い, 新垣の方法にヒントを得て有茎脾片を作成した. さらに, 著者が考案した, 脾動脈・内胸動脈吻合と脾静脈・肺動脈吻合のもとでの有茎脾片・心筋縫着法による, 心筋虚血部への血行再建の様態を, 血管構築の形態学的観察の立場から, 経時的に追求した. 心筋血行再建の評価法として, 肉眼的観察法, 組織学的観察法のほかにBarium-Gelatin法を採用した. その結果, (1)移植脾片は確実に生着した. (2)移植脾片・心筋間に術後2週間目にしてすでに少量の血管連絡が証明された. また, 移植脾片. 心筋両組織間を連絡する血管の太さをMicroangiographyおよび組織学的に大別して3型に分類し, 検討したところ, 1カ月群, 3カ月群では比較的細い血管が豊富であり, 6カ月目にはこれが減少して太い血管が主体をなすことがわかった. |