Authors : |
香川輝正, 小谷澄夫, 野々山明, 増田与, 佐藤正, 大迫努, 藤尾彰, 斉藤幸人, 田中一穂, 辰己明利, 沢田修 |
Abstract : |
先天性冠状動脈瘻の中, 冠状静脈系に交通する型のものは稀であり, 過去の報告例数も少ない. 著者らは約5年前に左冠状動脈回旋枝, 冠状静脈洞瘻に体外循環下瘻結紮術を行ったが, その後瘻の再開通をきたし, 最近になって大動脈弁逆流と心筋虚血による心不全症状を呈するようになった8歳の女児に対し, 右房切開経路により冠状静脈洞開口部を切開開大し, 洞内より瘻孔を縫合閉鎖して満足すべき結果をえたので報告する. 「はじめに」 先天性冠状動脈瘻は比較的稀な疾患とはいえ, 世界的にはすでに300例をこえる報告例があり, わが国においても年々症例報告の増加をみつつある. しかし, その多くは冠状動脈, 心腔瘻coronary artery-cardiac chamber fistulaとして分類される病型のものであり, 冠状動静脈瘻coronary arteriovenous fistulaすなわち, 冠状動脈と冠状静脈系間の交通症の報告例数はなお少ない. |