アブストラクト(25巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 異型大動脈絞扼症に対する人工血管バイパス5例の経験(遠隔予後を中心として)
Subtitle :
Authors : 和田寿郎, 浅井康文, 田中信行, 樫野隆二, 小松作蔵
Authors(kana) :
Organization : 札幌医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 25
Number : 9
Page : 1130-1137
Year/Month : 1977 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 過去17年間に大動脈絞扼症48例を経験し, そのうち異型大動脈絞扼症は12例(25%)であった. 本症に人工血管バイパスを, 5例に行った. 本法は絞扼部の長い異型大動脈絞扼症に比較的多く使用されているが, 長期予後についての報告は少ない. そこで教室のバイパス術5例について長期予後を報告し, 2~3の考案を行った. 異型大動脈絞扼症12例中, 絞扼部が10cm以上の5症例に, 人工血管によるバイパス術を行った. 男女比は1:4で女性に多く, 手術時平均年齢は18歳と若い. 病因は4例が大動脈炎症候群で, 1例が先天性と思われた. 5例中4例はすべて160mmHg以上の高血圧であり, カテーテル検査での5症例の絞扼部圧較差は最高162mmHg, 最底36mmHg, 平均116mmHgであった. 術後は全症例で圧較差が減じ, 上肢, 下肢の最高圧較差は50mmHgであった. 遠隔成績では, 1例を術後3年6カ月目に縫合不全によると思われる急性腹症で失ったが, 他は術後10年3カ月を最長として正常生活を営なんでいる. 本症例に合併することの多い腎動脈狭窄は5症例中3例にみられ, 1例に右腎動脈再建術を施行した. 腎動脈再建術を行わなかった2例中1例は術後10年3カ月の現在, 血圧下降があるが, 他の1例は両側腎動脈狭窄があり現在も190mmHgの高血圧が残在しており, 将来精査の上, 腎動脈再建を考慮中である. なお最近の症例には, 少しでも縫合不全の機会を少なくする意味で, 電熱性切断器で縫合部を処理している. 本症は縫合不全による晩期死の可能性があり, 定期的検診の必要性が重要である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 異型大動脈絞扼症, 人工血管バイパス, 大動脈炎症候群, 腎動脈再建, 縫合不全
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