Abstract : |
ペースメーカー植込後の電池交換は, 肉体的にも経済的にも患者に大きな負担となる. そこで少しでもペースメーカー電池を有効に利用し, 電源の寿命を延長させるため, 電極間抵抗値および刺激閾値について実験および臨床例65例について検討を加えた. 市販のペースメーカーに電極間抵抗を負荷すると, 回路電流の低下が著しく, ペーシング不全の原因となりうる. また逆に負荷が少ないと過大電流が流れ, 電池の早期消耗の原因となる. 単極心内膜電極では, 植込み2年後の電極間抵抗値は植込み時より18%上昇していたが, 刺激電流閾値は89%上昇していた. 実際に通電していた電極と未通電電極の抵抗値の上昇率から, 抵抗値の経年変化は組織反応よりも通電による影響が大きいことが判明した. 電極間抵抗は電極尖表面積が減少すると増大し, 閾値は逆に低下する. 抵抗値の変化は分極インピーダンスの変化に起因することが大きい. 電極尖表面の小さい電極を使用する際には, 植込時の抵抗値および閾値上昇率が高いので, 閾値が充分に低い部位に電極尖を固定することがペーシング不全を防止する上に必要である. 以上のことから, 電極間抵抗値が400~500Ω前後で低閾値の所に電極尖を固定することが, 電池の早期消耗または閾値上昇のためのペーシング不全を防止するのに有用であると結論した. |