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近年超音波を利用した心エコー図の発達普及が進み, この方法を用いて心機能を評価する試みが行われている. 本研究では15例の対照群と40例の心疾患群に対して等尺性握力負荷をかけ, 心エコー図より求めた心機能指標の変化より心の予備力評価を試みた. 26例の心疾患例については手術術式別, NYHA機能分類別, 駆出率(EF)と平均左室円周短縮速度(mVCF)による分類別に手術前後の心機能の比較検討も行った. 1)等尺性握力負荷により対照群, 僧帽弁狭窄症群(13例), 僧帽弁および大動脈弁閉鎖不全症による左室容量負荷群(23例), 大動脈弁狭窄症による左室圧負荷群(4例)とも血圧心拍数の著明な増加があった. 2)等尺性握力負荷に対する反応は対照群に比べて心疾患群では低下しており, 心疾患群の予備力は対照群より少ないと考えられた. 3)手術術式別にみると, 術前のEFとmVCFは僧帽弁交連切開術群10例(MC群), 大動脈弁置換術群10例(AVR群), 僧帽弁置換術群4例(MVR群)の順に低下していたが, 術後にはMC群, MVR群, AVR群となり, MC群, MVR群の術後の心機能の改善がAVR群に比べて良好であった. 4)NYHA機能分類別にみると, II度群はIII・IV度群に比べて術後のEF, mVCFの増加は大きく, 術後の心機能の改善はII度群がIII・IV度群に比べて良好であった. 5)EF, mVCFの両指標が高値を示す群(I群), 両指標が低値を示す群(III群), 中間群(II群)に分けて検討した. III群では術後にEF, mVCFは術前に比べて有意の増加があったが, 対照群に比べ依然有意に低く, I群, II群に比べて術後の心機能の改善が不良であった. |
