Abstract : |
22歳, 女子, 労作時息切れ, 心悸亢進を伴うIHSSの1症例において経右室に筋切除術を施行, 患者は術後順調な経過をたどり, 愁訴なく日常生活に復帰しているが, 術後2カ月の時点における左心カテーテル検査では術前左室流出路圧較差70mmHgにたいし, なお40mmHgと較差残存をしめし, 心電図は完全右脚ブロック像を呈していた. 本症例の経験と内外の文献的考察から, 経右室心筋切除法は効果が不確実であるという難点があり, 術前右脚ブロックの存在するもの, 右室流出路狭窄を伴うもの, しかも肥厚膨隆が比較的中隔に限局している症例などに施行を噛定すべきであり, 本症にたいする外科的治療としては経大動脈, あるいは経左室心筋切除法を第一選択とすべきであろう. なお症例によつては単独僧帽弁置換術も有用であると考える. 「はじめに」1869年にLiouville1), Hallopeau2), 続いて1907年Schmincke3)により紹介されたHypertrophic obstructive cardiomyopathyは, 1957年Brock4)により, その機能的特異性が解明されてのち僅か5年もへずしてKirklin5), Morrow6), と外科的治療の報告があいついだ. |