Abstract : |
過去5年間に手術を行った僧帽弁狭窄症68例中, 直視下交連切開術, 僧帽弁置換術の計49例について, 術後成績よりretrospectiveに検討し, 術前にLOSの発生を予想する試みを行った. 術後LOSの発生をみたのは49例中8例であり, この8例をLOS群, 残りの41例を非LOS群とし, 術前のデーターよりLOS群に高頻度にみられる因子を, 重症度判定の因子とした. その結果, (1)年齢40歳以上, (2)心胸廓比55%以上, (3)心房細動, (4)心係数2.5l/min/M2未満, (5)肺動脈平均圧40mmHg以上, (6)isometric handgrip testでのΔLVWI/ΔLVEDP 0.5未満の6因子がLOS群に高頻度に認められた. そこで, これらの6因子を有する症例のうち, LOS群の占める頻度よりそれぞれ1, 1, 1, 2, 2, 3点とし, 計10点のscoreを作成し, 重症度判定の指標とした. その結果, 非LOS群の平均が5点であるのに対し, LOS群の平均が8点と, 両群間に有意の差を認めた(p<0.05). 以上より, この重症度判定のscoreは, 僧帽弁狭窄症手術において, 術前に手術リスクを判定するうえで有用であると思われた. |