Authors : |
坂内五郎, 松本弘, 川辺昌道, 小林剛一, 中嶋宏治, 平井明文, 尾内弘次, 谷口棟一郎, 飯島哲夫 |
Abstract : |
Primary chylopericardiumは非常に稀な疾患で今までに全世界での報告例はわずかに23例を数えるに過ぎない. われわれの症例は43歳, 男性で心プールスキャンニング, 超音波診断法, 右心系の造影所見などより心膜腔内の液体の貯溜が推定され, 心膜穿刺で乳糜様液を採取した. 生化学的検査でコレステロールは低く, トリグリセライド, NEFAが高値を示し, primary chylopericarduimと診断された. 手術は右第5肋骨床で開胸した. 胸腔内には胸水の貯溜はなく, 肺表面の拡張したリンパ管を認めなかった. 横隔膜より約10cm上方で胸管を露出し, 胸管内にポリエチレン管を挿入し, 色素を注入して心膜への移行を調べたが移行はみられなかった. 心膜を穿刺し1,040mlの乳糜を採取したのち, 心膜を10×6cm切除した. 次に横隔膜直上で胸管を二重結紮したのち胸管を約7cm切除した. 術後5日目までドレーンより排液がみられたが, 第6病日頃より排液がなくなったので8日目に抜管した. 術後の経過は順調で心陰影は著明に縮少し, 術後2ヵ月目の現在再発をみていない. |