アブストラクト(28巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : ファロー四徴症根治手術における右室機能, 残存狭窄, 側副血行の評価と意義
Subtitle : 原著
Authors : 須磨幸蔵, 辻隆之, 竹内靖夫, 井上健治, 城間賢二, 小山雄二, 吉川哲夫, 成味純, 落雅美, 中島一巳
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学第2病院循環器外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 28
Number : 2
Page : 268-277
Year/Month : 1980 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 昭和49年1月より54年4月までの間に行った待期的フアロー四徴症根治手術は84例(病院死9例, 死亡率10.7%, 遠隔死なし)であり, これらの症例について術後右室機能, 残存流出路狭窄の評価, 側副血行の検索を行った. 1. 右室機能は右室の後負荷(一時的肺動脈狭窄による)に対する反応性で調べた. 循環動態を定常的に保ちうる範囲において右室の耐えうる最大後負荷(定常循環最高右室圧)は平均88mmHgであった. 術後右室収縮期圧に対し, 余分に追加しうる後負荷の割合(後負荷予備)は平均0.53であった. 死亡例は後負荷予備が少ない傾向がみられた. 定常循環最高右室圧と動脈最高圧(左室収縮期圧)の比は許容最大右室左室収縮期圧比を示すが, その値は平均0.81であった. 2. 残存狭窄の評価は一般に右室左室収縮期圧比で行われ, 事実残存狭窄の大きいほど圧比は大きく, 予後とも深い相関を示した. しかし, 圧比は残存狭窄以外の因子にも影響され, 人工心肺離脱直後その値は変動し, 残存狭窄再解除の可否に迷うことが多い. 迅速かつ適切な判断には残存狭窄を流体力学的に正確に把握する必要があり, 血流量と圧差から抵抗係数および抵抗単位として求めた. 抵抗係数(λ'), 抵抗単位(R)の平均はそぞれ0.37および2.9であった. 抵抗係数0.8以上の場合は予後不良であり, ただちに残存狭窄再解除の必要があると考えられた. 3. フアロー四徴症根治手術後の左心不全には体肺側副血行が関与する. 気管支還流量比20%以上の場合は術後心不全での死亡率が高い. 1例に術後第8病日に気管支動脈, 肋間動脈, 左右内胸動脈を切離し, 良好な結果をえた. 側副血行の多寡は胸部単純X線写真でも目安はつくが, 逆行性大動脈造影で術前に正確に把握しておくことが望ましい.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 後負荷予備, 許容最大右室左室収縮期圧比, 抵抗係数, 気管支還流量比, 側副血管切離術
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