Abstract : |
目的と方法:1975年から1978年までに手術をした40歳以上の僧帽弁弁膜症26例について術前術後の心エコーを記録し, 40代と50歳以上のそれぞれの群をさらに直視下交連切開(OMC)群とBjork-Shiley弁による弁置換(MVR)群に分け4群の心機能を評価した. 左室機能のパラメーターとしてmVcf, mPwv, EDV, ESV, SV, EFを算出した. 結果:(1)40代でのOMC群とMVR群では術後の心機能の変化の差異は認めなかったが, MVR群の方が左房径の縮小傾向が強かった. (2)50歳以上ではOMC群に比しMVR群の方が術後SV, EF, mPwvでは良好な傾向を示し, さらにmVcfでは有意に(p>0.05)良好であった. ただし左房径の縮小程度に差異はなかった. (3)OMC群では40代と50歳以上の両者における術前術後の年齢による心機能の差異はなかった. 左房径の縮小も同程度であった. (4)MVR群では50歳以上の方が術前EF, SV, mVcfにおいて40代よりも低値にあるも, 術後同程度あるいはそれ以上の値を示した. 結論:40代をcontrolとし50歳以上の高年齢僧帽弁疾患におけるOMC群とMVR群の心機能評価を行った. 40代では両者に術後の左心機能の差異は認められなかったが, 50歳以上ではOMC群よりもMVR群の方が術後の左室心筋機能, ポンプ機能は良好であり従来自己弁はできるだけ温存せよという考えであったが, 50歳以上の高年齢者ではOMCにとどまらず, 積極的にMVRを施行してよいと思われる. |