アブストラクト(29巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術後の呼吸管理におけるRespiratory Index(R.I.)の臨床的意義
Subtitle :
Authors : 菊地宙恵, 志田寛, 森本雅巳, 井之川孝一, 津金次郎, 池田裕, 杠英樹
Authors(kana) :
Organization : 信州大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 29
Number : 1
Page : 1-7
Year/Month : 1981 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術後の術後管理のうち, 乳幼児の高度肺高血圧を伴う心室中隔欠損症の呼吸管理は, その手術成績を左右する重要な因子の1つである. 従来より開心術後の呼吸管理の指標として動脈血化が重要視され, その評価法として動脈血酸素分圧(PaO2), 肺胞・動脈血酸素分圧較差(P(A-aDO2))および肺シャント率(Qs/Qt)などが検討されてきたが, 動脈血化の総合的評価としてはなお不充分と考えられる. そこで, われわれは呼吸状態の簡便かつ総合的評価法として, 吸入酸素濃度(FiO2)から算出したP(A-aDO2)をPaO2で除したrespiratory index(R.I.)を, 乳幼児および小児の心室中隔欠損症の術後における呼吸管理の指標として用い, R.I.の臨床的意義を検討した結果, 1)R.I.の術後変動は肺高血圧の程度と密接に関係し, 肺・体収縮期圧比が増加するに従ってR.I.は高値を示し, その正常化も遅延する. 2)R.I.はQs/Qtと正の相関を示し, 開心術後の肺シャント量の変動および手術予後をよく反映する. 3)人工呼吸器の適応および離脱時期の決定に関してもR.I.は有用な指標となるなどの所見が認められた. したがって, R.I.は乳幼児のみならず成人の弁膜症における開心術後の呼吸管理においても, 呼吸状態の経過を追跡する有用な指標の1つと考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 小児開心術, 単純低体温法, 術後呼吸管理, 肺シャント率(Qs/Qt), respiratory index(R.I.)
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