アブストラクト(29巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 急性心筋梗塞による心原性ショックに対するintraaortic balloon pumpingの効果に関する臨床的検討
Subtitle :
Authors : 維田隆夫, 庄司佑
Authors(kana) :
Organization : 日本医科大学第2外科学教室胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 29
Number : 1
Page : 8-25
Year/Month : 1981 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心原性ショックを伴った急性心筋梗塞(AMI)にIABPを施行し, それによる救命効果, 各種血行動態及び心機能に及ぼす影響, isosorbide dinitrate(ISDN)との併用効果, 生存群と死亡群の心機能に及ぼす影響につき臨床的に検討した. 過去2年7カ月間に収容した271例のAMIのうち心原性ショックとなった19例にIABPを施行し, 13例(68%)をIABPから離脱せしめ6例(32%)の長期生存を得た. IABP施行24時間後には, 心拍数, 中心静脈圧, 肺毛細管圧, 平均肺動脈圧が有意に低下し, 拡張期動脈圧, 心係数, 一回心拍出係数, 心仕事係数, transmyocardial pressure gradientが有意に上昇した. 48時間後には, さらに全末梢血管抵抗が有意に低下し, 収縮期動脈圧が有意に上昇した. 心機能に及ぼす最大効果は, IABP開始48時間後に得られ, 肺毛細管圧25.2±2.0→19.5±1.5mmHg(P<0.01), 心係数2.01±0.17→2.34±0.14L/min/M2(P<0.01)と変化した. 24時間以上のIABPでも心機能の改善が少ない7例に, 前負荷軽減の目的でISDN 5~10mgを併用したところ, 肺毛細管圧26.6±2.1→21.3±2.5mmHg(P<0.05), 心係数2.08±0.17→2.42±0.17L/min/M2(P<0.01)とIABP単独にくらべ有意に変化した. 本剤は動脈圧低下を招くことが多いが, IABPを施行していることによりその影響は軽度であった. 左心機能がIABP 48時間施行以後に悪化する傾向がみられたのは死亡例に多く, 生存例ではIABP離脱後も良好な状態に保たれた. 死亡例は, 剖検で左室壁の50%以上が壊死に陥っており, 冠動脈病変も2枝以上に認められたことから, 左室壁の梗塞壊死が広範囲な症例ではIABPの救命効果はあまり期待できないと判断された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心原性ショック, 大動脈内バルーンパンピング, systolic unloading, diastolic augmentation, 血管拡張剤
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