Title : |
冠動脈再潅流傷害(reperfusion injury)に対する軽減効果 IABPおよび抗カルシウム剤について |
Subtitle : |
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Authors : |
森渥視, 薗潤, 谷口亭一, 中島眞樹, 安藤史隆, 岡田慶夫, 木之下正彦*, 河北成一*, 宮崎瑞夫**, 奥西秀樹**, 戸田昇**, 南一明*** |
Authors(kana) : |
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Organization : |
滋賀医科大学第2外科, *滋賀医科大学第1内科, **滋賀医科大学薬理学教室, ***京都大学医学部第2外科 |
Journal : |
日本胸部外科学会雑誌 |
Volume : |
29 |
Number : |
1 |
Page : |
26-32 |
Year/Month : |
1981 / 1 |
Article : |
原著 |
Publisher : |
日本胸部外科学会 |
Abstract : |
大動脈遮断下における開心術は, しばしば要求されるところであるが, 種々の心筋保護法をもってしても, 血流再開後, 心筋傷害が残る. このreperfusion injuryを軽減する方法として, 大動脈バルーンパンピング法(IABP), および抗カルシウム剤, diltiazem hydrochloride(diltiazem)投与による方法の有用性を検討した. 雑種成犬を使用し, 左冠動脈前下行枝を2時間閉塞した後, これを解除した. 局所心筋血流量は放射性標識微粒子法を用いて測定した. 虚血心筋部位に対する再潅流血流量の減少がdiltiazemおよびIABPによりいかに防止されるかを観察した. Diltiazemは梗塞移行部の局所心筋血流量を有意に増加させた. IABPも梗塞移行部の局所心筋血流量を有意に増加させたが, 同時にIABPの場合は, 心内膜側血流量の増加が外膜側血流量の増加よりも多い傾向を示した. 梗塞部位ではdiltiazemによる局所心筋血流量の増加作用は少なく, 有意の増加を示さなかった. しかしIABPは心外膜側心筋血流量を右意に増加させた. 健常部位ではdiltiazem, IABPともに有意の局所心筋血流量増加作用を示さなかった. 以上より, 大動脈遮断後のreperfusion injuryの軽減にdiltiazem投与はきわめて有効であると思われる. IABPは局所心筋血流量を有意に増加させると同時に, 側副血行路が乏しく, 容易に傷害を受けやすい心内膜側心筋血流量を増加させる傾向があり, reperfusion injuryの軽減にさらに有効であると思われる. |
Practice : |
臨床医学:外科系 |
Keywords : |
大動脈バルーンパンピング, 抗カルシウム剤, 冠動脈再潅流傷害, 局所心筋血流量 |