Abstract : |
カテコールアミンの一種であるDopamineに加え, 血管拡張剤であるニトログリセリン軟膏(NTG軟膏)の併用療法を, 開心術後のLOSに対し使用した. 開心術後の20例に対し, 肺動脈楔入圧(PCWP)の高低により2群に分け, PCWP低値群をI群, PCWP高値群をII群とし, その血行動態を検討した. Dopamineの投与量は5~15r/kg/minで, NTC軟膏は通常24mgを用い, II群のうちLOSを示した8例に対してはDopamine+NTG軟膏の併用療法を行った. その結果, 心拍数では変化なく, Double productは30分後, 平均動脈圧では60分後まで有意に低下し, RA圧, PCWP, 肺血管低抗などの前負荷を示す指標は60分から120分後まで有意に低下し, 後負荷を示す体血管低抗では180分後まで有意の減少を示した. 一方, 左室一回仕事係数は有意の変化がみられなかったが, 心係数では30分後まで有意に増加した. すなわちこの併用療法は前負荷, 後負荷の軽減作用が大であり, PCWPが高値を示す開心術後のLOSにとって有用な方法と思われた. |