Authors : |
岡良積*, 鬼頭義次, 小原邦義, 藤田毅, 曲直部寿夫, 朴永大**, 田中直秀**, 土師一夫**, 榊原博** |
Abstract : |
症例は53歳男性. 急性心筋梗塞で入院中, 超音波心臓検査で左室瘤を認め, その中に大量の壁在血栓が存在し, その一部が心腔内に有茎性に突出し, 振子運動をしている所見を認めた. 直ちに心室および冠状動脈造影を行い, 左室瘤と大量の壁在血栓および重症三枝冠病変を確認した. 心不全症状が強く, 肺癌術後で肺機能も悪いpoor risk症例であったが, 梗塞発症後27日目に心室瘤切除, 血栓除去, A-Cバイパス術の緊急手術を施行した. 術後は心不全も改善し経過は良好である. この様な症例は極めて稀で, 本邦ではいまだ報告例がないので若干の文献的考察を加えて報告するとともに, 心筋梗塞後早期の超音波心臓検査の重要性を強調した. 心筋梗塞後左室瘤には高頻度に壁在血栓の合併がみられ, それがときには全身の血栓塞栓症を惹起し, 致命的結果を招くことがよく知られている 1)~10). これまでこの壁在血栓は手術時にはじめて発見されることが多かったが, 近年超音波心臓検査, ことに断層法の発達に伴い, 心臓血管造影や手術を行う以前に発見されるようになってきた 11)~13). |