Abstract : |
3歳の男児のTaussig-Bing奇型に対して, Senning手術変法を行い, 心房中隔にGore-Tex布を用いて補綴し, 左房の新設にグルタ・アルデハイド処理ブタ心膜片(Rygg社)を使用した. 心室中隔欠損口は経三尖弁的に, 右室切開することなく, ダクロン布で閉鎖した. 本症に対する根治手術法として, 心室内および心房内における血流変換法の術式が選択されているが, 国内外における本症に対する根治手術の成功例は著者らの症例を含めて19症例である. 心房内変換法としてSenning手術による根治手術の成功例は本症例が国内外の文献上最初の報告かと思われる. 今回, 著者らは本症に対する根治手術々式別による問題点について検討したが, 術後成績では根治手術後の肺高血圧の残存, 不整脈の合併を含め, いくつかの問題点が残されており, さらに長期予後の観察が必要であると考える. Taussig-Bing奇型は1949年, TaussigおよびBing 1)によって最初に報告が行われ, 肺動脈弁直下の心室中隔欠損(VSD)を有し, 大動脈弁口は右室内にあり, 肺動脈の右側に位置し, 肺動脈は心室中隔に騎乗する心奇型であり, 現在では両大血管右室起始症(DORV)型から完全大血管転位症型(TGA)まで種々の形態を有する稀な先天性心疾患である 2)-4). |