アブストラクト(29巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 左軸偏位を示す心房中隔欠損症の検討
Subtitle :
Authors : 安斉徹男, 川辺昌道, 小林剛一, 谷口棟一郎, 尾内弘次, 飯島哲夫, 坂内五郎*, 泉雄勝
Authors(kana) :
Organization : 群馬大学医学部第2外科, *群馬大学医療短期大学部
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 29
Number : 3
Page : 367-372
Year/Month : 1981 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 左軸偏位を示す二次孔ASDの特異性, 原因などを探るため, 当科にて手術を行った二次孔ASD212例, ならびに一次孔ASD(ECD)10例について, 臨床的分析を行い, 以下の結論を得た. 1)二次孔ASDのQRS軸の値は, 10歳未満で97°±30°(mean±SD), 10歳台94°±40°, 20歳台78°±36°, 30歳以上90°±29°である. 全体の値は92°±34°で, mean±3SDに当る+192°~-10°に含まれないものは, 6例(3.2%)で, 全て左軸偏位であった. 2)左軸偏位の定義は, -30°~-90°とされているが, ASDの特異性から-10°以下とし, 0°以下も検討の対象とした. 左軸偏位二次孔ASDの局在は, 中心位7, 低位1であり, 血行動態面でもASD全体との間に差はなかった. 3)左軸偏位は3.2%(-10°以下)ないし, 2.2%(-30°以下)でほぼ3%に認められた. これは同年代の正常人の2~3倍に相当する. 4)-10°以下の左軸偏位例では, 多少の変動をみるものの, 6ヵ月~4年の観察期間中全てが-10°以下に, -30°以下の4例中3例が-30°以下に止まっていた. このことはECD術後においても, 同様に認められた. 5)二次孔ASDでみられる左軸偏位の原因として, 血行動態因子の関与を否定し得ぬものの, 主として先天的原因による心室内の, 刺激伝導経路の異常によるものと推測される.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 二次孔ASD, 一次孔ASD, 左軸偏位, QRS軸
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