Authors : |
辻隆之, 須磨幸蔵, 竹内靖夫, 井上健治, 城間賢二, 小山雄二, 成味純, 吉川哲夫, 伊藤信行, 小林洋, 中島一巳, 岩渕汲* |
Abstract : |
深部体温計を用い回復室(室温24℃, 湿度60%)で開心術後患者32例の前額, 足踵深部温を直後より6時間ごとに経時的に72時間まで各例平均6回, 合計206回計測した. 同時に心拍数(beats/min), 収縮期動脈圧(mmHg), 中心静脈圧(cmH2O), 心係数(L/min・M2), 1回拍出量係数(ml/beat・M2), 体末梢血管抵抗(PRU)を求めた. 前額・足踵深部温隔差が7℃以上とそれ以下の2群に分け, 両群間で各指標を比較検討した. その結果, 前額・足踵深部温較差が7℃以上(前者)の時には, 7℃以下(後者)の時に比べて有意に心拍数(126±21, 113±17)は高く, 収縮期動脈圧(113±12, 120±16)は低く, 心係数(2.4±0.7, 2.8±0.9), 1回拍出量係数(20±7, 25±8)は小さかった. 中心静脈圧(12±4, 12±3), 体末梢血管抵抗(34±11, 32±12)には有意の差はなかった. 前額, 足踵深部温較差は血管作動薬(イソプロテレノール, クロールプロマジン, フェトントラミンなど)やハイドロコーチゾンなどの影響を強く受けるが, その較差は一般に小さい方が大きい時に比べて血行動態は良好であると考えられた. 前額, 足踵深部温監視は開心術後患者管理のガイドラインとして有用であり, また理論的にも妥当と考えられた. |