アブストラクト(29巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心臓・大血管手術後に合併した肺水腫─成因・治療および予後の検討─
Subtitle : 原著
Authors : 高原善治*, 田中一彦*, 公文啓二*, 菊池利夫*, 中島伸之**, 内藤泰顕**, 藤田毅**
Authors(kana) :
Organization : *国立循環器病センターICU, **国立循環器病センター心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 29
Number : 9
Page : 1470-1477
Year/Month : 1981 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心臓・大血管手術後に起こる肺水腫を成因別にその治療と予後について検討した. 1979年1年間に国立循環器病センターICUに入室した術後症例409例中胸部レントゲン検査にて肺水腫と診断された21例について検討を行った. まず成因別に分類するとDynamic type(肺毛細血管圧や膠質浸透圧に関係)は8例, Permeability type(壁透過性に関係)は9例, Combination type(両者に関係)は3例, 不明1例であった. Dynamic typeに対しては, 呼吸管理とともに, 低心拍出量症候群の改善をはかり, 水分バランスを平均-10.4±11.2ml/kg/dayのマイナスバランスに管理し, 血液成分の補給を行い, 全例改善を認めた. 一方壁透過性に関係するPermeabilityとCombination typeは12例中5例(41%)の改善を認めただけであった. この改善例と非改善例について, 水分および血液成分バランスの管理上の差は認められなかった. これらの群では呼吸管理とともに原因と思われる感染やDICの治療が重要と考えられた. 全体で21例中14例(67%)が肺水腫の改善を認めたが, 生存したのは8例(38%)にすぎなかった. これは肺水腫例は, 重篤な例が多くDICや感染により多臓器不全や敗血症に陥る例が認められたためで, 厳重な管理が必要であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺水腫, 治療と予後, Dynamic edema, Permeability edema
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