Authors : |
広野達彦, 坂下勲, 佐藤良智, 小池輝明, 山口明, 林純一, 金沢宏, 滝沢恒世, 矢沢正知, 江口昭治 |
Abstract : |
左肺癌の縦隔リンパ節郭清は, 大動脈弓ならびにその分枝の存在のため, 右肺癌の郭清に比べ不充分になっている. また左肺からの輸出リンパ流が, 同側のみならず, 対側傍気管を経る経路も多いことを考慮すると, 左肺癌の縦隔リンパ節郭清はさらに不充分であると考えられる, 教室では左肺癌に対する郭清範囲を拡大するため, 胸骨正中切開による両側縦隔リンパ節郭清術を考案した. 本法は胸骨正中切開の後, 上行大動脈と上大静脈の間で心膜を縦切開, 気管を露出し, 上縦隔上部リンパ節, 左右傍気管リンパ節, 前気管リンパ節および左右気管気管支リンパ節を郭清する方法である. 我々は本法の適応を, 手術侵襲の増大および不要な本法の施行を避けるために, 70歳未満の肺葉切除例で, 通常の左開胸による郭清で肺門または縦隔リンパ節転移を認めた症例に限った. 昭和53年8月から昭和55年11月までに9例に本法を行い, 9例中2例に本法による郭清リンパ節に転移を認めた. |