Title : |
1才未満ファロー四徴症に対する一期的根治手術の検討 |
Subtitle : |
原著 |
Authors : |
及川佑一郎, 遠藤薫, 伊藤伊一郎, 井筒岳, 菰田研二, 漆久保潔, 佐藤泰和, 新津勝宏 |
Authors(kana) : |
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Organization : |
岩手医科大学第3外科 |
Journal : |
日本胸部外科学会雑誌 |
Volume : |
29 |
Number : |
10 |
Page : |
1616-1624 |
Year/Month : |
1981 / 10 |
Article : |
原著 |
Publisher : |
日本胸部外科学会 |
Abstract : |
1歳未満ファロー四徴症11例に対して一期的根治手術を行い11例中死亡1例, 死亡率9%の成績を得た. 11例の手術年齢は6~12ヵ月(平均9ヵ月), 体重は6.5~10.5kg(平均8.0kg)であった. 肺動脈対大動脈径比0.3以上を乳児期根治手術の適応としたが, 手術例の肺動脈本幹対大動脈径比は0.4~0.85平均0.57で肺動脈弁輪部対大動脈径比は0.29~0.58平均0.38であった. 肺動脈対大動脈径比0.50以下は自家心膜片による流出路形成術の適応とし, 11例中5例に流出路形成術が行われた. 開心術の補助手段は全例単純超低体温法である. 退院時における右室─肺動脈収縮期圧較差は15±8mmHg, 右室対大動脈収縮期圧比は0.43±0.06と肺動脈狭窄の解除は良好であった. 肺動脈─右室拡張期圧差は6.5±2mmHgで圧差なしは1例のみで退院時点での肺動脈弁機能も良好であった. 右室拡張終期圧は6.8±2mmHgで8mmHg以上は1例であった. 退院時の右室造影所見で4例に右室流出路の瘤状拡張を認めたが, その程度はいずれも軽度であった. 生存10例における遠隔時の一般状態は良好であり, 現在まで遠隔死亡はない. 3例の遠隔期心臓カテーテル検査の結果も良好で肺動脈収縮期圧も正常であった. この3例中2例は退院時に右室流出路の瘤状拡張を認めた症例であったが, 遠隔期の造影では拡張の増大はなかった. 結論(1)肺動脈対大動脈径比0.3以上を対象に一歳未満ファロー四徴症11例に一期的根治手術を行い良好な結果を得た. (2)肺動脈狭窄の解除は1歳未満でも満足すべき結果であり, 肺動脈対大動脈径比0.5以下には流出路形成術を適応すべきである. (3)肺動脈弁機能は術後1~2ヵ月では良好に維持されていたが, 遠隔期には弁機能が減退する所見であった. (4)遠隔期の一般状態は良好であり, 十分なる肺動脈狭窄除去を行なえば右室流出路の拡張も防止しうる. (5)以上の結果より肺動脈対大動脈径比0.3以上ならば乳児期一期的根治手術は十分可能と考える. |
Practice : |
臨床医学:外科系 |
Keywords : |
乳児期ファロー四徴症, 一期的根治手術, PA・AO径比, 右室流出路形成, 単純低体温法 |