Abstract : |
食道アカラシアの外科治療の目標は, 第1に狭窄部を広げ食物の通過障害を改善すること, 第2に通過の改善に伴って起こりがちな胃内容の食道への逆流を防止するような工夫を行うことである. 本研究の目的は, これまで教室で検討済みの術式に加えて, 下記の3術式の逆流防止効果を検討することにある. 1. 有茎胃弁移植法, Jekler-Lhotka法, Girard法の3術式を雑種成犬を用い, 各5頭, 計15頭に施行した. 術後に胃食道内圧およびpH引き抜き検査, X線検査, 内視鏡検査, ヒスタミン刺激による食道炎の誘発を行い, これら3術式の逆流防止効果を比較検討した. 2. 逆流防止効果はJekler-Lhotka法, Girard法, 有茎胃弁移植法の順に高かった. 3. 本実験と教室ですでに検討済みの術式とを合わせて, 総合的な逆流頻度を求めると, 近側胃切除兼食道胃端々吻合法100%, Wendel法100%, Heller法83%, 有茎胃弁移植法80%, Girard法60%, Jekler-Lhotka法40%, Fundicpatch法0%となった. 4. 逆流防止については, 粘膜弁, fundopexy, fundoplicationなどの個々の有用性は認められたが, 粘膜弁とfundoplicationの組合わせにより逆流防止効果が一層高くなることが知られた. 5. 逆流防止策を組合わせたFundic patch法は逆流防止効果が高く, 食道アカラシア術式として推賞される術式と考える. |