アブストラクト(29巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 心房中隔欠損症根治術後に発症したSick Sinus Syndromeの4症例について
Subtitle : 症例
Authors : 平田和男*, 龍田憲和*, 小西裕*, 南一明*, 松田捷彦*, 日笠頼則*, 安田隆三郎**, 田畑良宏**, 李泰興**, 大仏正隆***
Authors(kana) :
Organization : *京都大学医学部第2外科, **滋賀県立成人病センター心臓血管外科, ***三菱京都病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 29
Number : 11
Page : 1811-1817
Year/Month : 1981 / 11
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 心房中隔欠損症根治術後の不整脈として, sick sinus syndromeを起こした4症例を経験したので報告する. 症例1は6歳男性. 術後, 徐脈性の結節性調律となり, 薬物には反応しなかった. 自覚症状もなく外来にて経過観察中である. 症例2は36歳女性. 術後, 心房細動より心房粗動となり, 一時的に脳血流障害が認められたが数時間後には回復した. その後心房粗動が持続し, 直流除細動にて, 徐脈性洞調律となり, 以後アロテックを服用している. 症例3は51歳女性. 術後3日目, 心房粗動より突然洞停止を起こし, 直ちに心肺蘇生術を行い心拍動は回復した. その後も徐脈と頻脈とを繰り返し, ペーシング療法などを行ったが, 全身状態の悪化および脳血流障害のため, 術後17日目に死亡した. 症例4は59歳女性. 術後2日目にbradycardia-tachycardia syndromeを発症し, 徐脈にはペーシング, 頻脈には薬物療法を用いて治療した. また徐脈頻脈の発作時に脳塞栓症を合併し, 抗凝固療法を行った. その後も不整脈が持続し, 術後29日目に永久的経静脈性ペーシングを行い, 経過観察中である. 心房中隔欠損症根治術は, 心房壁, 心房中隔に切開および縫合を行うこともあってか, 術後種々の不整脈を発症しやすいが, 中でもsick sinus syndromeは薬物療法が困難で, しばしば致死的なことがある. 手術時の結節間伝導路への配慮, 愛護的手術操作に加えて, 予防的に右心耳, 右心室壁にペーシングワイヤーを植え込み, 術後起こりうる一過性の不整脈の治療としてペーシング療法を行う. 持続性のsick sinus syndromeに対しては, 永久的ペーシングを考えるべきである.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心房中隔欠損症(ASD), Sick Sinus Syndrome, Bradycardia-Tachycardia Syndrome, 脳血管障害, 心臓ペースメーカー
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