Abstract : |
近年, ICUで繁用されるようになった深部温度計は, 当初より体外循環時における使用が試みられたが, その利点がはっきりせず, 広く一般に使用されることなく現在にいたっている. われわれは, 軽度低体温(25℃~32℃)併用体外循環手術中に前額部および足底部にて深部温を測定し, その変化のパターンを検討した結果次のような知見を得た. 前額部深部温は, 従来言われていたように, 冷却, 加温に敏速に反応し, 冷却, 加温時の温度モニターとして適しており, 体外循環中止時, 2℃程の温度下降を示すことが多い. 足底部深部温は, 冷却開始とともにゆっくり下降しはじめ, 冷却中止あるいは加温開始にもかかわらず下降を続け, 似後2つのパターンで変化する. A. 部分体外循環開始あるいは体外循環終了前後に急激な立ち上がりをみせる. B. そのまま下降, 平坦となるか, あるいは上昇してもなめらかな曲線を描く. 今回の調査対象とした17症例のうち, Aのパターンを示した者は10例, Bのパターンを示したものは7例であった. 術直後の心係数および全末梢血管抵抗値がAにおいてBよりも良好であったことより, 各パターンに対する対処法として次のように考える. A. 麻酔, 体外循環, 手技等, 総合的に良好な血行動態を示し, そのまま経過観察する. B. 循環血液量の減少などがなく, 他の要因が適正な場合, 血管拡張剤の投与基準となる. |