Abstract : |
食道癌の主癌巣周囲に表在性に拡大する癌巣のX線所見をA型(単純壁伸展不良像), B型(小顆粒状壁伸展不良像), C型(大顆粒状壁不整像), D型(粗大結節状壁不整像), E型(粘膜下結節状壁硬化像)の5型に分類し, 同部位の病理組織学的所見(進展様式)─すなわち上皮内進展型(ie-I, ie-II, ie-III, ie-IV型), 多発癌型(multiple primary carcinoma型), 脈管侵襲型(ly型), 混合型(ie+ly型)─と対比を行った. また同部位の癌周囲組織所見を検討し, 各型におけるX線所見の成り立ちを類推するとともに各型別にみた頻度, 長径, 主病巣との関連, 脈管侵襲, リンパ節転移に対する影響, 予後等を検討し, 臨床的にX線像を判読することによる治療方針の決定及び予後推定の可能性を検討した. A型例では脈管侵襲(ly, v), リンパ節転移(n)への関与はあまりみられないが, B, C, D, E型では高度の関与があった. 予後の面ではA, B型像を伴う症例では7~9年の長期生存もみられ予後に期待できるが, C, D, E型例では3年以上の長期生存はあまり期待できないことが分かった. 特にE型例は全例ly v(+), n(+)で全例1年前後で死亡している. |