Authors : |
前田昌純, 川田博昭, 門田康正, 中原数也, 籠谷勝己, 谷岡恒雄, 中岡和哉, 藤井義敬, 大野喜代志, 橋本純平, 川島康生 |
Abstract : |
59歳男子, 中葉局在肺癌に対して, 中葉切除, 中幹・下幹端々吻合術(中葉のsleeve lobectomy)を施行した. 術後, 早期(浮腫性狭窄), 晩期(肉芽性, 瘢痕性狭窄)の合併症もなく, 吻合部は良好なpatencyを保っている. 本症報告の意義は以下の2点に要約しうる. (1)中葉局在肺癌に対して, 中葉のsleeve lobectomyが適応し得る. 本症での適用理由は, 区域支に腫瘍先進部が証明されたこと, 癌腫の経気管支的領域を出来るだけ広汎切除することにあった. (2)中葉のsleeve lobectomyの報告はいまだない. 中葉支, 並びにその近接気管支の構造的な問題点, 葉間という局所解剖学的な特殊性が本術式適応の制約となっていたと思われるが, 本症を通じて本術式が技術的に可能であることが実証された. 気管気管支再建術はなお完成されたものではなく, 例えば術式的にみても可能と思われるがいまだ報告されていない術型が存在しうる. ここで述べる症例もその1つで, 肺癌に対する本術型適応の妥当性とともに, 術式上の問題点について考察を加える. |