Authors : |
安達博昭*, 横山秀雄*, 泉山修*, 稲尾雅代*, 北野一郎*, 安倍十三夫*, 安喰弘*, 小松作蔵*, 香西襄**, 林幹朗***, 下条直樹*** |
Abstract : |
二次口心房中隔欠損症(ASD)に僧帽弁閉鎖不全症(MR)を合併した症例が, ASD閉鎖術後, 数ヵ月で高度の心不全となり, 僧帽弁置換術(MVR)を行った症例を経験した. 症例は, 3歳4ヵ月の女児で, 1歳11ヵ月時に, 他の施設でASD閉鎖術を受けたが, 術後2ヵ月目頃よりMRの症状が増悪し, 薬物療法に抵抗性の心不全となり, CTR=69%, 肺動脈圧53/30mmHg, 左心室造影で, Sellers分類IV度の左心房への逆流を認めた. 本症例に, Hancock弁(#25)を用いてMVRを行い, 術後1年半の現在, 元気に正常生活を送っている. ASD+MRでは, 心房位の左─右短絡のため左心系の負荷が少なく, MRの程度は軽く見られがちである. 本疾患についての慎重な診断とMRの程度判定, 外科的治療法の選択, 小児期弁置換術の問題点について考察を加えて報告した. 二次口心房中隔欠損症(以下ASD)は, 先天性心疾患の10~15%を占め, 外科的治療の予後は極めて良い1). |