Authors : |
横田通夫*, 村岡隆介*, 青嶋実*, 野本慎一*, 曲人伸*, 小林彰*, 中野博行**, 上田憲**, 斉藤彰博** |
Abstract : |
年長児の総動脈幹症に対する根治手術の成績は良好になってきているが, 生後12ヵ月以内の成績はいまだ満足すべきものではない. 本疾患の80%が生後12ヵ月以内に死亡する故, 12ヵ月未満の外科的治療が問題となる. われわれの経験した生後9ヵ月児の根治手術症例を報告しつつ, 文献的考察をふまえて, 本症に対する乳児期根治手術について考察する. 患児は哺乳力減弱, 体重増加不良, 多呼吸を主訴として, 生後4ヵ月のとき本院に転院した. 精査の結果, 総動脈幹症I型と診断, 半月弁の逆流が軽度であったため, 内科的治療をつづけたが, 心不全が増強し, 体重増加が不良であったため, 生後9ヵ月, 体重5.3kgのときに体外循環併用による表面冷却超低体温法を用いてRastelli手術による根治手術を施行した. 本例で技術的に問題となった点は, 主肺動脈が短く切断時に両肺動脈がめがね状に切断されてしまったため, 急拠肺動脈を共通管として形成せざるを得なかったことであった. |