Abstract : |
腎機能の指標として, 24時間クレアチニン・クリアランス(Ccr(24))を用い, 開心術例40例の術前・術後のCcr(24)を測定した. また術前・術後の心拍出量を, シャントのない症例では熱希釈法にて, シャントのある症例ではFickの原理にて測定した. 40例を体外循環時間によって3群に分類した. 体外循環時間60分以内のもの9例をI群, 60分~120分のもの12例をII群, 120分を超えるもの19例をIII群とした. I群のCcr(24)は, 術後早期に術前値より有意に増加し, 術後遠隔期でも有意の増加をみた. また術後遠隔期の心係数(CI)も術前より有意に増加した. II群・III群の術後早期のCcr(24)とCIの増加は遅延した. しかし術後遠隔期でのCcr(24)とCIは増加傾向を示した. Ccr(24)とCIの術前値と術後値を比較検討した結果, 以下の結論を得た. 1. 開心術後に心拍出量が増加すれば, 腎機能は術前より改善されると考えられる. 2. 体外循環時間が60分を超えると, 開心術中の心筋虚血・体外循環などが術後早期の心機能と腎機能に悪影響を与えるが, 術後遠隔期には腎機能は術前より改善される傾向を示した. 3. Ccr(24)は, 開心術前・術後の腎機能の指標として有用であり, 開心術前・術後に測定したCcr(24)と熱希釈法にて測定したCIとの間には, r=0.48(p<0.005)と有意の正の相関が認められた. |