Title : |
不安定ヘモグロビン症(Hb Zurich)を有した症例の開心術の1例 |
Subtitle : |
症例 |
Authors : |
土田弘毅*1, 藤原直*1, 福地晋治*1, 橋本明政*1, 小柳仁*1, 高橋早苗*2, 木全心一*2, 石沢慶春*3, 村田和彦*3, 宮地隆興*4 |
Authors(kana) : |
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Organization : |
*1東京女子医科大学心研外科, *2東京女子医科大学心研内科, *3群馬大学医学部第2内科, *4山口大学医学部検査科 |
Journal : |
日本胸部外科学会雑誌 |
Volume : |
30 |
Number : |
6 |
Page : |
1171-1178 |
Year/Month : |
1982 / 6 |
Article : |
報告 |
Publisher : |
日本胸部外科学会 |
Abstract : |
不安定Hb症(Hb Zurich)を有する45歳女性におけるSt. Jude Medical弁による僧帽弁置換術とDeVega法による三尖弁輪形成術の1治療例を報告した. 本症例では麻酔は塩酸モルヒネ総量2mg/kgを使用した. 無血充填人工心肺装着後, 低流量で人工心肺を回転し患者血液を始め2000ml人工心肺回路外へ脱血し, 一時無血体外循環の状態をつくり, その後保存血液を漸次2600ml加えて人工心肺回転を行った. 術中, 術後急性期の溶血の程度は正常血液者の開心術と比較して差がなかった. 人工弁に起因した溶血の増加も認めなかった. 不安定ヘモグロビン症例における開心術の注意点としては, 不安定ヘモグロビンは酸化性薬剤により不安定性が促進されるので, hemolytic crisisを起こす薬剤の使用をさけること, 術前術後の溶血発作には輸血で対処する事, アシドーシスはメトヘモグロビンを形成しやすく溶血も促進するのでアシドーシスをさけること, できるだけ体温を37℃以下に保つことなどがあげられる. これらの点に留意すれば安全に術中術後管理が可能であると思われる. |
Practice : |
臨床医学:外科系 |
Keywords : |
不安定Hb症, Hb Zurich, hemolytic crisis, 開心術, 血清遊離ヘモグロビン |