Abstract : |
肺動脈狭窄を合併したII-C-solitus型単心室(Van Praagh分類)の13歳男子に対し, 心室分割と弁付き外導管による肺動脈再建を行い, 長期生存を得た. II-C-solitus型単心室に対する本法成功例としては文献上第1例と思われる. 血流交叉型単心室に対しては種々の修復方法が試みられているが, 本法は解剖学的制約の少ない方法であると思われた. 心室分割の可能となる術前の心室容積について明確な基準はない. 著者らは現時点では, 左側心室成分が正常左室拡張末期容積の100%以上であることを一応の目安としている. 本例の術後心精査では, 左側心室拡張末期容積が正常の160%, 右側心室拡張末期容積が正常の85%であり, 心室分割はやや不均等であった. 患児は現在, 元気に学校生活を送っている. 佐賀俊彦, 城谷均, 奥秀喬, 楠本幸弘, 横山郎 近年単心室症に対しても解剖学的修復が試みられ成果をあげている. 本症は大血管の位置異常を合併することがむしろ一般的であるが, 完全大血管転位を合併した本症の解剖学的修復成功例は, いまだ数少ない. 著者らは今回, 本症に対して心室分割と弁付き外導管による肺動脈再建を行い生存せしめたが, II-C-solitus(Van Praagh分類)1)に対する本法による修復成功例としては, 文献上第1例であると思われる. |