Authors : |
坂本徹, 中原秀樹, 横山基幹, 藤原等, 今関隆雄, 松永裕司, 鈴木敏文, 山田崇之, 鈴木章夫, 斧田大公望* |
Abstract : |
昭和53年4月~57年3月の4年間に開心術を施行し各種データーの集計が可能であった255例を対象にヒト免疫グロブリンであるVenoglobulin(VG)又はVenoglobulin-I静注投与の輸血後肝炎(PTH)への影響についてretrospectiveに検討した. 対象例をI群(64例):VG非投与, II群(112例):術後3日間VG投与, III群(79例):VG術前及び術後投与, の3群に分別し, (1)VG投与別, (2)年齢, (3)性別, (4)麻酔時間, (5)手術時間, (6)体外循環時間, (7)フローセン使用の有無, (8)新鮮血使用本数, (9)保存血使用本数, (10)凍結血漿血使用本数, (11)濃厚赤血球液使用本数, (12)アルブミン使用本数, (13)血液型, の13因子について多変量解析を行った. PTH発生の有無を外的基準とし, 2群判別関数3種, 2群判別分析2種及び3元配置分散分析を試みた結果, PTH発症に関しては, (1)VG投与, (2)保存血使用本数の2因子が有意に影響を及ぼしていた. PTH発生はVG投与ではIII群はI群, II群に比し有意に少なく, 保存血面では使用本数が多くなるにつれてPTHは増加した. また, III群では保存血使用本数がI群, II群に比して有意に少なかったが, 他因子の影響を固定した要因偏相関係数が保存血因子よりVG投与因子において高値であり, III群におけるPTH発生の減少は保存血減少とは別に, VG術前・術後投与が有意に影響していたと考えられた. 以上より, 開心術後PTHの予防には手術時の保存血使用を最少限にとどめると同時にISGの術前・術後投与が極めて有用と判断された. |